東京郊外の国分寺崖線の中腹、緩やかな高低差のある住宅地に建つ夫婦と子供一人のための住宅である。敷地と北側の前面道路には東西で600mm程度の高低差がある。
住み手は近隣の商業エリアで美容室を自営しており、広い土間を持つ玄関で将来の小商いを可能とするような余白を確保することを考えた。
周辺の住宅は南側に庭、北側の住宅という配置のものが多い。同じように南側に庭、北側に駐車場とアプロ―チを確保すると、残りの部分が建築可能な範囲になる。そこに敷地内の高低差を吸収するように土間・キッチン、ダイニング、リビングなど、使い方に合わせて小上がりなどで徐々に段差をつけて配置する。それらの段差を組み合わせ、敷地の高低差になじませるように1階にも600mm程度の床のレベル差を設けた。
二階床は一階の床レベルが低い側を高く、1階の床レベルが高い部分を下げることで、一階を迎え入れるように二階床をかけ、一階の天井高にメリハリをつけている。
二階の屋根は北側斜線などに配慮しながら、一階の屋根に沿うように同じ勾配で屋根をかけた。二階は、床レベルが低い部分では、隣地の庭や道に接続するよう視線が隣地につながる。床レベルが高い部分では、隣地の屋根越しに風景をのぞむことができる。周辺の台地の緩やかな高低差を内部まで引き込み1階床と、それに呼応してかけたシンプルな2枚の勾配屋根により、地形的コンテクストに呼応しながら、この場所にしかない住宅らしさを目指した。
用途:住宅
所在地:東京都調布市
竣工:2022年
主要構造:木造
担当:須藤剛 高岩愛実
構造設計:多田脩二構造設計事務所
撮影:長谷川健太
Principal use: House
Location: Choufu City, Tokyo
Completion: 2022
Structure: Wooden
Project team: Tsuyoshi Sudoh, Manami Takaiwa
Structure design: Shuji Tada Structural Design Office
Photo: Kenta Hasegawa