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東京郊外に建つ住宅である。かつて商店街の中にあった敷地は、通りと住宅は近接し、住宅同士が密集している。前面道路は狭隘で歩行者も多いが、建主は日常の動線を重視して1階に居間を設けることを希望していた。敷地の大きさから庭を設けるのは難しく、通りに向けて居間の開口を設けても、人通りがあるためカーテンが閉まりきりで機能しないだろうと考え、居間を前面道路の反対側に配置した。逆に通り側には水回りや収納など大きな開口が不要な諸室を配置し、その上部に屋根のある大きな屋外空間(テラスルーム)を設けた。
前面道路と居室の間に、1階はヴォリュームのバッファーゾーン、2階はヴォイドのバッファーゾーンがあるイメージである。そして、1階には小さな中庭を設け、2階のテラスルームと居間を立体的に繋ぎ、家の外にも内部をつくって全体が外と暮らす住宅となることを目指した。
1階の収納や水回りは可能な限り天井高を下げ、同時に2階テラスルームの床レベルも下げている。逆に中庭の床や居間の天井はレベルを上げ、テラスルームへ大きく開き繋げている。それにより1階の居間に光や風、まちの音や気配を届ける。
外観は隣地の家型ヴォリュームやバルコニーの形状を参照し、テラスルームにより、ひとかたまりのヴォリュームに切れ目が入り、背の違う家型が並ぶかたちとした。
通りとのバッファーと室内外のふたつの階段、行き止まりのない平面により居室のプライバシーと暮らしやすさは確保しつつ、住宅全体が外と繋がり、まちの変化や気配を感じる住宅となることを目指した。
用途:住宅
所在地:東京都小金井市 
竣工:2022年 
主要構造:木造
担当:須藤剛 高岩愛実
構造設計:多田脩二構造設計事務所
撮影:長谷川健太

Principal use: House
Location: Koganei City, Tokyo
Completion: 2022
Structure: Wooden
Project team: Tsuyoshi Sudoh, Manami Takaiwa
Structure design: Shuji Tada Structural Design Office
Photo: Kenta Hasegawa