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■都市で活き活きと暮らすためのエリアを開拓する

木造平屋建て住宅や木賃アパート、RCの共同住宅などが建つエリアの段階的な小さなエリア開発の第一期工事。木造平屋建ての住宅を地域の人が利用できるカフェ兼イベントスペースにコンバージョンし、まちの小さな広場や散策路を作る計画である。

私たちの都市の暮らしは、いろいろなものに制御され、あまり能動的に考えなくても生活ができるようになっている。
とても便利だが、それだけでは自分で考える力や、自然とのつながりを感じることなく暮らせすぎてしまうのではないかと思った。
オーナーが江戸時代からまもり育ててきたこの地を、使い方を与えるだけではなく、使う人が使いかたを発見できる場所にできたらより豊かな場として引き継いで行けるのではないかと考えた。

そのために設計で考えたいくつかのことを並べてみると
・外の地面と同じ高さのまま続く、土間と大きく開くことができる木製サッシで中と外がおおらかにつながり、ニシイケバレイの豊かな緑や、まちにふく風、自然を感じることができる場所とした。
・土間から和室、和室から縁側、縁側から庭、庭から通路と、幾重にも空間が重なり、奥の向こう側に外が見え視線の抜けを作る。
・敷地内から道まで張り出した枕木や、れんがの舗装で敷地と通路の境界もあいまいにし、町中の道路でピクニックすることを想像できるかも、そんな想像力を掻き立てるような場所を池袋という大都市に作る。
・枕木やレンガ、土になじみのある素材を地面に使い、地面に使われていたレンガや御影石がそのまま花壇になったり、素材の使い方も一つに縛られない工夫をする。
・エリア内に複数建つ建物と建物の間を裏側のスペースではなく、塀を撤去し舗装し緑を植えてエリアをめぐる楽しみを作る場所として整備した。
・カフェの入り口や、イベントスペースの庭には、スチール製の細いフレームを設置した。それは植物の住むパーゴラであり、カウンターを取り付けるための柱であり、お客さんを迎えるゲートであり、庇や道と庭を緩やかに仕切る領域を作る役目もはたしている。
・木々の実りや、虫や生き物の暮らしを発見するのと同じように、めぐる楽しみや、ちょっとしたこと発見するための工夫をちりばめた。
例えば、「トイレの動線への動線は光を反射させるシルバー塗装をつかって通路の奥をうっすら明るくしたり」、「固定の縁台と可動のベンチを同じデザインにして中と外の差をあいまいしたり」、「天井に隠れていた使わなくなった電気配線(ガイシなど)をあえて残したり」、「サインのベースを街に溶け込ませるため街区表示板を使用したり」などである。
めぐる楽しみや、ちょっとしたこと発見する歓びによってニシイケバレイがこのまちの暮らしに新しい豊かさをもたらすことを期待している。
用途:飲食店、イベントスペース
所在地:東京都豊島区 
竣工:2020年 
主要構造:木造
担当:須藤剛 髙岩愛実
構造(パーゴラ):金田泰裕|yasuhirokaneda STRUCTURE
撮影:長谷川健太

Principal use:Cafe,Event space
Location:Toshima-ku,Tokyo
Completion:2020
Stracture:Wood
project team:Tsuyoshi Sudoh Manami Takaiwa
structure design(pergola):yasuhirokaneda STRUCTURE
Photo:Kenta Hasegawa