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敷地は池袋駅の西口から徒歩数分の住宅地と商業地の境に位置しており、商業地の裏側で都市の匿名性が高まりそのしわ寄せを受け止めてきたような場所だった。

2019年、敷地内に点在していた3棟の住宅を改修することから始まり、賑わいをつくりながら、人が集い、関係が生まれる場を時間とともに育ててきた。新築棟はその延長に位置づけられ、既に芽生えた関係を継承し、拡張する建築として計画している。

建物は分棟形式を採り、ピロティや路地、テラスや中庭を持つことで、周辺の隙間と連続させた。1階には飲食店やポップアップ、ジムといった外部に開かれた用途とした。2・3階は多様な住戸タイプを集合住宅とし、事務所や店舗などミセの機能を持つ。専有部と共用部のあいだに土間空間を挿入することで、将来的な転用や、多様な関係を許容する構成とした。

外構には枕木や御影石など近隣で用いられてきた素材を再編集し、敷地内外の境界を滲ませた。新築でありながら、時間を内包し、使い手とともに育つ建築を目指した。スクラップ&ビルドに代わる、どこにでもある隣り合う建築群を、都市の文脈を引き継ぎながら更新する、新しい都市の再開発と建築のあり方である。
用途:飲食店、シェア店舗、体育施設、店舗・事務所併用の共同住宅など
所在地:東京都豊島区 
竣工:2025年
主要構造:鉄筋コンクリート造
担当:須藤剛 髙岩愛実 山崎百々美
構造:多田脩二構造設計事務所
撮影:長谷川健太

Principal Use: Cafe, Shop, Office, Gym, Housing
Location: Toshima-ku, Tokyo
Completion: 2025
Structure: RC
Project Team: Tsuyoshi Sudoh, Manami Takaiwa, Momomi Yamazaki
Structure Design: Shuji Tada Structural Design Office
Photo: Kenta Hasegawa